『今から、夜季の奴らと話し合ってくるから。』




ノートにペンを走らせながら、ただぼんやりと先生の話を聞いていた授業中に、そう携帯には流からの伝言が入っていた。


学校が終わると、急いで学校前までタクシーを呼ぶが、財布にはなけなしのお金。

タクシー運転手は口には出さなかったが、少し怒った表情で私を乗せずに車を出し、排気ガスと一緒に去っていった。




夕日のせいで影が少しずつ伸びていく校門前で、立ち尽くす。




どうしよう、間に合わない。


夜季の倉庫に行きたいのに、だけど、歩いて行けるほど簡単な距離じゃないから、困った。




流ってばひどい。

夜季のことになると、いつも私は仲間外れ。



流が急に夜季を辞めるなんて言ったら
絶対圭怒るに決まってる。


しかもその原因は私にあるんだもん。


私のことになると、流は圭に殴られても、絶対に殴り返さないに違いない。



一方的に殴られ続けた流はボロボロになって、その腕で私を抱きしめるのだろう。


だけど、それじゃあ流と圭の仲に溝が出来ちゃう。


それもまた、私が原因で生まれたもの。



信頼し合ってるからこそ
1度裏切られ引き裂かれた仲は、もう元には戻らない。



そんなのって、私も含め、流も圭も辛いと思う。



だから、そうはさせないように
私も流と一緒に頭を下げなきゃいけないのに...



流ってば、私がそう考えていると分かってて、わざと私が授業中で外へ出られないときに、圭達のところへ行ったんだ。




むかつく...けど、それも流の優しさだから、余計悲しくなってくる。