流は私にとって恋人であり、好きな人だもん。
危ないことなんか今すぐにでもやめてほしい。
だけど、流には流の生き方があるでしょ?
それを縛ろうとしようとした瞬間から...私も父とやってることは一緒なんだ。
ねえ、男の世界なんか知りたくないよ。
泥臭くて、仲間意識は強くて、そのくせ乱暴ですぐ喧嘩するけど、最後には笑ってるんだもん...意味わかんないよ。
だけどね、女の子にはない、そのキラキラとした青春が
私達異性にとっては、少しだけ羨ましかったり、甘酸っぱかったり。
とにかく、どんな流でも好きだからって気持ちを伝えたいのに。
上手く口が回らなくて、金魚みたいに真っ直ぐな瞳で口をパクパクさせていると。
たくましい腕に抱き寄せられるから、温もりが一気に伝わってきて、涙腺まで緩んじゃった。
「ムギ...ありがとな、お前の言いたいこと口に出されなくても、よーく伝わってる。」
ヘラッと笑う流が、そのまま言葉を続ける。
「だけど、俺は俺なりに考えて、夜季を辞めるって決めたんだ。
そのことにお前は関係ない。から、あんま自分のせいと決めつけて、自分を責めんなよ」
どこからか吹いてくる風が、私の前髪を後ろに向かせおデコを広げるから。
ピンっと簡単に流にデコピンされて、じわじわと痛痒く赤くなる。
「もうっ...!」
「はは、ムギのおデコ少し赤くなってらあ。 かわいいな」
「こんな時にふざけないでよ...!」


