「流...お願い、お家に帰ろ?」



黙って言う事聞いてほしい。
ダメなんだ、今圭とぶつかり合う勇気がない。




でも流は聞こえないふり、ハンドルを握ったまま遊び感覚で圭達のバイクを追いかける。




「ムギ、なんでも思い通りになると思うな」


「...っ」


「いたんだろ?...お前の男。
復讐するなら今しかねえ、ぶつかろうぜ」



「っ、無理だよそんなの!!」



「無理じゃねえ、俺もついてるし。
それに言いたい事ぶちまけて、さっさと逃げりゃこっちの勝ちだ。
運転してるのは俺だ、俺様のこの運転テクニックなら簡単に奴らから逃げられる」



「...」




なんて信用ならない言葉なんだろう...世界一信用ならないよ。



でもやると決めたらやるのが流。
付き合いは浅いけど、この男の性格を今嫌というほど思い知った。





加速するバイクに、流にしがみつく力が強くなる。


流は温かい
全身熱で出来てるんじゃないかってくらい、寒いこの時期にはちょうどいいからずっとしがみついていたいて思っちゃう。