少しでも私の親の機嫌を取ろうと、持ってきた花束とバームクーヘンは、いつの間にか玄関先で散らばっていて。
落ちては飛び散った花びらが、父の足の指先に、縋(すが)るようにくっついている。
「何度も言っている。 お前みたいな不良が紬と関わるな。
こいつは普通の子なんだ。
お前みたいなチャラチャラした、将来のことも考えてない能天気と一緒にするな。」
見た目だけで判断し、まったく流という1人の人間の中身を知ろうとしない父は、あまりにも人間として最低で。
こんな奴が私の父親なんだと思うと、嫌で嫌で今すぐ血の繋がりさえ断ち切ってしまいたい。
ほらね、流。
いくら流が頭を下げたって、想いを伝えたところで
この父親には通用しないんだ。
だから、ねえ。 もう帰ろう。
ーーこれ以上、流が傷つくところなんか見たくないはずなのに。
「...俺が、"反省"すれば、紬との関係。 許してくれるんですか?」
どこまでも抗い続ける流の愛を、最後まで見届けたくなっちゃう自分がいるから。
流を目の前にして、父に反抗できない自分がいるんだ。


