愛を知ったような口で、私の眼差しがあまりにも反抗的すぎたせいか、父は世間知らずな私に
ついに引っ込めていた手を振り上げた。
強く目を瞑って、叩かれる覚悟を決めていたのに。
その手が振り下ろされても、何秒待っても乾いた音が聞こえてこないのは。
「いくらあなたが紬の父親でも...俺の女に手を出すことだけは、許されないからな」
いつの間にか目の前に立っている流が、その広い背中を私に向けて、父の手首を強く握りしめながら、低い声で圧倒しているから。
男らしすぎるその言葉に、感情だけでは収まりきれなかった胸の痛みがギュッと強くなって。
また1つ、増えてしまった愛に、自然と涙が溢れてしまう。
「...っ、汚い手で触るな」
男同士の力の比べ合い。
流の手から逃れようと、何度も腕を振るが
なかなか離してくれない流に、父はバツが悪そうに眉を寄せながら、弱さを見せた。
流が父の手を離し、一歩下がって私の隣に立つ。
そして、力では圧倒出来ると確信できたはずなのに
流は最初っから最後まで父に頭を下げ続ける。
「お願いします...!、紬とのこと、認めてください。
俺にはこいつが必要で、こいつにも俺が必要なんです...っ」


