「お父さん...!」
父の前に、立ちはだかったのは流ではなく娘の私で。
出て行ったり帰ってきたりを繰り返してきたこの家の、中と外の境界線を壊せるのは
"私しかいない"と。
昔から私の帰りも出て行くことも許してくれた、お家の玄関が喋れもしないのに懐かしさを醸し出すから
そう、教えてくれてるみたいだ。
「私は...っ、私は流が好き」
「...っ」
「好きなのに一緒に居ちゃいけないなんて、そんなのおかしいじゃん!!
好きだからこそ、一緒に居なきゃ...」
歳なんか重ねたって、意味なんかないでしょ?
居たいよ、ずっと。
隣で
...ううん。
離れても 心だけは、私たちの心だけはずっと寄り添っているはず。
だから。
「私の...娘の幸せを願うなら、私と流のこと認めてよ」
お父さんが反対したって
この恋は、この気持ちだけは
ーー譲る気なんか、ないんだから。


