【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー






流はヘラヘラしてるように見えて、本当は誰よりも先のことを考えている。



そんな本気を見せられちゃ、お母さんだって何も言い返せずに、口をだらしなく開けたまま、流と睨めっこだ。




そんな時。



「いい加減にしろ。 お前みたいな不良と話すことなんか1つもないんだよ」



家の奥からぬっと現れた、警戒心丸出しの父が、私とお母さんと流の間に割って入ってきた。



「ムギのお父さん、話があります」


「俺はない」


「俺はあります」


「しつこいぞ...!」



こんなプライドの塊みたいな頭の固い父を、流にも友達にだって、恥ずかしいから一生見せたくなかったけど。




彼氏からすると、彼女の父親なんて1番の敵なのに、それでも挑んでいく流を見て
私だって負けてられないなって思う。




いつも怖くて言えなかったけど、今日こそ言わせてもらおうと思う。



真面目で、だけど世間の目を気にしすぎて子供を玩具としか思ってない父と。


不真面目だけど、私をちゃんと見てくれる流。


どちらが私を1番大切に思ってるかなんて、そんなの。



目を閉じてても、心の目で見ればわかるはずだよ。