【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー





道を走るバイクのタイヤが、アスファルトに汚れを描いていく。


その汚れを描き終えた先には、帰りたくないと強く願った私の家があって。



でも流が「早く行くぞ」なんて。私の腕を強引に引っ張り、玄関の前に立たせるから。



嫌々、インターホンを鳴らした。

ずっしりと重く見える玄関のドアの奥から聞こえてくる、バタバタとこちらに向かって走ってくる音。



「つむぎ...!?」



ガチャっと勢いよく開いた茶色いドアから、焦った母親が飛び出してきて、私と流はその場で思わず後ずさりする。




「お母さん...ただいま」



帰ってきたくなかった家に“ただいま“なんて。
違和感を覚えても、言わずにはいられない。



お母さんの辛そうな顔を見て、少しだけ罪悪感。



結局私達、どう足掻いても...家族なんだね。