私を軽くあしらいながら、冷めて伸びきったカップ麺を1度も口にすることなく台所に片付ける流。


私達の沈黙を、付けてあったテレビの中にいる芸人さん達が嘲笑うように盛り上がっている。



ワガママだって分かってる...


それでもーーー...。

やっぱり私は、親よりも誰よりも流のそばに居たい。



リビングに戻ってきた彼に、ギュッ...!と勢いよく抱きついた。


流はいきなりの事に驚いて一瞬目を見開いたけど。
抱き返すことはせず、その大きな手を私の頭にポンッ...と軽く置いた。


流はずるい。


いつも流の方から抱きついてくるくせに...

こういう時だけは...いつも抱き締めてはくれない。

好きだ好きだ言うくせに、甘やかしてはくれないんだ。




「ムギちゃん、いい加減離れないと襲っちゃうぞ?」


「...いいよ別に。
家に帰るくらいなら、流に抱かれて今以上に愛を育んでいたい」


「...バカ言ってんじゃねーよ、ムギ。
そういう事を簡単に口にするな。」


「バカなのは流の方だよ。
私もう嫌だ、あんな冷たい家族...いらない。
心配してたなんて綺麗事言って、本当は...自分達の都合の言い様に動いてくれない私のことが嫌いなんだ...」