「...何があったかは落ち着いたら話せ」


「...うん」


「でもな、ムギちゃん。
俺の部屋の鍵、朝に渡したろ?
それ使って入って来れば良いのによー」


「鞄...家に置いてきたから。鍵も持ってないの。
それに...」



今この瞬間、鍵を持ってたとしても
流に開けてほしかったの。


流がドアを開けてくれる事によって、私のこの濁(にご)った気持ちも...少しは解放される様な気がしたから。



「ムギちゃんの綺麗な足を、この流様の手によって更に綺麗に...!」


ふざけた事を言いながら、洗い流し終えて綺麗になった私の足を優しくタオルで拭く流。


2人でリビングに足を運ぶと、テーブルには3分過ぎて伸びてしまったカップラーメンが置かれてあった。




「ごめんね流...もしかして今から晩ご飯食べるところだった?」


「気にすんな、カップラーメンの3分より、ムギちゃんとの3分の方が俺には重要なことだ」


「...でも流」


「気にすんなって言ってんだろ?」


「じゃなくて、晩ご飯にカップラーメンって体に悪すぎ。
たまにならいいけど、出来るならちゃんとご飯作って食べなよ、一人暮らしなんだし栄誉はちゃんとつけなきゃ」


「...あい」