【完】壊愛ー姫は闇に魅入られてー









「ねぇ、流...なんで距離置こうだなんて言ったの...?」




よく見ると、薄く渦を巻いてるココアを見ながら
ずっと聞きたかったことを聞いてみた。



さっきまで普通にしていた流が硬い表情を見せるから、テーブルにコップを置いて身構えた。





「...ムギを家に帰したかった、ただそれだけ」





言いながら、流は私の隣じゃなくテーブルを挟んで前に座る。



いつも私にベタベタくっついてたくせに。



座る場所まで距離を取られるなんて...すっごく悲しい。





「なんで家に帰したかったの?」



「...」



「流、教えてよ。
私この二ヶ月間、一方的に流から避けられて辛かったんだからね」



「...」



「電話は取ってくれないし。
お家にだって行こうと思ったけど...もし嫌われてたら嫌だから、流の口から"嫌い"って聞きたくなかったから、流に会いに行くの我慢したんだよ」





でももう、逃げないから。



逃げたら、ずっとこのままの関係が続いちゃうんでしょ...?



愛はあるのに距離を置くなんて
私そんなの絶対...嫌だ。