「...圭って野郎がお前のことをどう思ってたかなんて知らねーけど。
泣く暇があるなら、復讐でもなんでもしろよ」


「...っ...」


「...俺ァ、お前をあの公園で見つけた時、久しぶりにゾクゾクくるもんがあったぜ?
自分じゃ気づいてないだろーけど、お前...すっげえ怖い顔して夜の公園歩いてたからな」



「...見てたの!?」



「ああ最初っからな。
...久しぶりにワクワクしたぜ、お前を見つけた時は。」





吸いかけのタバコを私の目ギリギリに持ってきた流は、肩を震わせながら怪しく笑った。





へにゃへにゃと力が抜けてその場に腰を下ろした。




最初っから変だとは思っていたけど
流はやっぱり変、すっごく変。





「復讐とか...そんなものする気はないけど...
もうちょっとここに居ていい...?」



「ああ、お前の好きにしろ。
つかもうキスのことはいいのかよ?
すっげー怒ってたくせに」



「正直まだムカつくけど。流の言葉で色々と吹っ切れそうだから、なかったことにしてあげる!」



「ハッ、都合のいい女だなムギは。
まあいいや、よろしくなムギ」





怪しく笑いながら差し出された手をガシッと力強く握り返す。大きくてゴツゴツしてて、でも流の手から伝わる体温は気持ちいい。





信用なんてするもんじゃない
圭なんて、圭なんて大っ嫌いだ。




そう思い込むことにした、だって目の前にいる流がそう思わせてくれるから。





最悪の形で終わった恋



でも最悪な出会いが待っていて

いまーーーその最悪が時計の針と一緒に動き始めた。