流が助けに来てくれないなんて
信じたくないのに...
この男の口から出てくる言葉はまるで洗脳そのものだ。
この男が夭嵐の総長だってすぐに察しがついた。
だって噂通りの危ないヤツだから...
でも今はそんなことより
流が私を見捨てたなんて、絶対信じたくない...信じたくない...でもっ。
「ククッ...ハハ...」
「.........なに笑ってんのよ」
春なのに、いや、春だから?
少し肌寒いこの部屋で、男が不気味に笑う。
少しの風がどこからか入ってきてる気がした。
...たとえ少しの隙間があったとしても
逃げられなければ意味がない。
やっぱ勢い任せで逃げちゃう?
でもロープで縛られて走れないし...
失敗したらきっと流が前言ってたみたいに
"食い物される"
「紬ちゃん、ほんと面白いぜ?
俺にも居たよ、そういう女」
「ーーーーッ!?」
「拉致られて...でもまあ、探すのめんどくさかったからそのまま放置した。
そっからそいつの事見てないなー」
「...なっ...なんで助けなかったわけ?」
好きだから付き合ってたんでしょ?
なら助けるのなんて当たり前のことじゃ...


