"食い物にされるぞ"
流の低い声が倉庫内で響いて
まるで夏の始まりみたいに
皆の声が蝉みたいに聞こえてくる。
まだ春は始まったばかりなのに...なんか嫌い、この空気。
「俺らは夭嵐とやり合うつもりはねーが同じ暴走族だ。
奴らも他の族は正直邪魔だろ、いつ潰しに来てもおかしくねー」
「「「...」」」
「だから万が一に備えて油断はするな。
なんかあったら俺か圭か幹部の誰かに報告しろ。
いいな?」
「「「はいっ!!!!!!」」」
鈍い風が倉庫を揺らして、何かが始まろうとしてる事を知らせる。
夜季が流によって一つにまとまり始めた瞬間を
確かにこの目で見たのに...
嫌な胸騒ぎ。
黒い黒い闇が近くまで迫ってきてることを
私達はーーーーまだ知らない。