いまハッキリと、勇気のいることを彼女はした。
屋上から飛び降りるなんて
足は震えるし、怖くて視界歪むし、眺めは最悪だし、心臓だってバックバクなのに。
それでも彼女はしたんだ...
死ぬ事より生きる事の方が辛いって言うけど
生きたまま死ぬ時が一番辛いと思う
それなのに彼女はやったんだ、すごい勇気だね。
「...おい、飛び降り少女」
震えて泣いてる彼女の横で、助けた流はタバコを吸い始める。
「なん...で...助けたんです...か...」
納得のいかない様子で、何度もその言葉を口にする彼女に、流はタバコの煙を吐いて浴びせた。
「けっほっ!!!!ゲホッ!!
ちょっ、なにする...」
「お前喋れるんだよな?」
「...はい?」
「口、ついてんだろ?
なのになんでいじめた奴らに一言言ってやらねーんだよ?」
「...だって怖いもん...。
もっといじめられたら...どうするんですか...」
「じゃあ死ぬのは怖くないってことか?」
「はあ!?そんなわけない!!
めちゃくちゃ怖かった!!!」
「なんだ、じゃあ答え出てんじゃん」
「...へっ?」


