「ねぇ、ほんとにやめよ...?
死んで何になるって言うの?」
説得しながら近づいた。
フェンスの穴に指を入れて、フェンス越しにいる彼女に訴えかけるけど、振り向いてすらくれない。
だけど
風でこっちに向かって飛んできた彼女の涙が私の頬を濡らした。
あぁ...この子、やっぱり死ぬのが怖いんだ。
そりゃあそうだよね
いくら自分から死を望んだって怖いものは怖いよ。
簡単には...受け入れられないんだ。
ギュッと胸が苦しくなった。
一体なにが彼女をそうさせたのかって、理由を聞きたくなったけど。
その答えを聞かなくてもすぐ分かった。
ゆっくり振り返った彼女は、トイレでいじめられてた
あのメガネっ子。
真っ黒な瞳でただただ私を見つめていた。
...どうしよう、声が出ない。


