「圭(けい)、なんで...」



「聞こえなかったのか?...出ていけと俺は言ったんだ」



「ーーーでもっ、」




「しつこい女は嫌いだ。もう一度言う、お前はもう用済みだ。
今まで俺の"オモチャ"でいてくれてありがとな、紬(つむぎ)。恋人ごっこはここまでだ」





一方的に喋る恋人の圭は、あんなに愛を与えてくれていたのにまるで別人みたいに私を突き放す。





静まり返る寝室で、嫌いな耳鳴りが流れ始め
終いには圭の肩に頭を乗せて私を嘲笑う女の姿が涙目に映る。





「...っ...」




ボタボタと、雫が、水滴が、塩っ辛いそれが目から床へと落ちていく。





圭はそれ以上なにも言わないまま見せつけるように女を抱きしめた。




辛い


辛すぎるよこんなの



愛し合ってると信じて疑わなかった



昨日まで私達2人、幸せに笑いあっていたのに




ーーーそう思っていたのは私だけ?