安いチョコでも自分用に買っとけばよかった。



渡すか渡さないか、流の事で悩みすぎて
自分の存在忘れてたし...。



まあでも、流が喜んでくれたからまあいっか!




「ムギちゃん、おいで」



「...?」




ちょいちょい、と。
手招きする流に素直に従って彼に近づくと。




ーーーグイッ!!と無理矢理腕引っ張られてソファに押し倒された。




「りゅ...」


「自分用に買わなくて正解だったな?
今度は俺がお前にやるよ」


「へっ!?」


「お返しってやつ」




いやいやいや!!


流さんそれ1ヶ月後のホワイトデーだよ!!



チョコあげてすぐにお返しってなに!?




っと、まあ


私の心の叫びなんか流に聞こえてるはずないよね...。




「んっ...!!」



強引に奪われた唇が、甘い甘いチョコレートの味を簡単に侵入させて。



クラクラって。
口に広がるチョコが甘すぎて甘すぎて倒れそうになった。




「チョコもうめーけど、やっぱムギが一番美味いな」


「...」


「って、聞こえてねーか。
キスだけで意識失うぐらいだ...体なんて繋がったら、コイツ恥ずかしさで死んじまうぜ...絶対」



「...」



「まあ俺はいくらでも我慢するからよ。
色々と頑張れよムギちゃん」




途切れた意識の中で、なぜか流の笑い声だけが聞こえてきた。



...はっぴー、ばれんたいん。