「流。
はい、お茶」


「さんきゅー。
ムギはいい奥さんになるぜ?」


「...茶化さないで」


「茶化してないない。
俺はいつだって本気だぜ、ムギちゃん」



にんまり笑いながらお茶を飲む流。

沸かしたばっかりの熱いお茶なのに
気にせずグイグイ飲んでいく流ってば男らしい...。



...ほら、こういうところまでカッコよく見えるとか...もう色々と末期だよ。



別に流に不満があるわけじゃない

けど

流のなんでもかんでも口にする、そういうところが私は信じられない。



とにかく軽い...軽すぎるんだ



「流、わたし寝室掃除してくるから
お茶飲み終わったら自分で片付けてね」


「おおー、わかった」




流はこう言わないと片付けないし
部屋だってすぐ汚す。



初めてこの家に来た時はすっごく綺麗だったのに

私という名の家政婦に甘えてるんだろうか...。




正直甘えられるのも悪くないし
頼ってくれてる事だって嬉しい。




でも自然とできちゃったこの熟年夫婦みたいな関係のせいで
恋が一向に進まない...進む気がしないのです。