「ムギが風邪引いたら困るし。
そろそろ帰るわ」
「...、たまには夜季にも顔出せよな。
あと山崎のことは俺も調べとく」
「おう、ありがとな圭」
「なにかあったら電話しろよ、総長」
「あいよー、じゃあな」
ベンチから立ち上がって
圭と反対方向に歩き出す。
ちょっとだけ無言が続いた
完全に空から光が消えて暗くなった外を
街の至る所に飾られたイルミネーションが派手に明るくしていた。
またまた油断していた私
流の手がギュッて。
力強く私の手を握った。
「...ムギ、手あったけえ」
「...」
「...あれ、無視?」
「...バカ」
「...ん?怒ってんのか?お前」
そりゃあ怒りたくもなりますって。
さっきまで圭とばっかり話してたくせに
圭が居なくなったら、話しかけてくるなんて。
私が圭の代わりみたいでムカつくんだもん。