その日の夜

私は、軽い熱を出した。

楓摩曰く、色々考えすぎたことによる知恵熱らしい。

けど、グルグル回る気持ちは変わらなかった。

気持ちがグルグル回ると、胸の辺りが気持ち悪くなって、吐き気がする。

そのせいで、寝ようと思っても上手く寝付けない。

暗い部屋で寝ないとなると、考え事をしてしまう。

考え事をするといつの間にか、どう足掻いてもおじさんが浮かんで、おじさんの話に切り替わってしまう。

またグルグル、グルグル…

それで結局気持ち悪くなる。

楓摩も気にかけてくれて、寝かしつけてはくれるけど、何時間もしないうちに目が覚める。

それも、おじさんの夢を見て目が覚める。

その日の夜は、まるで拷問のように長く、苦しい夜だった。