痙攣は収まったものの、ほぼ昏睡状態の朱鳥。

…というのは、朱鳥はあの日から二週間、目を覚ましていない。

俺は、久翔にお願いして、毎日10分だけ、朱鳥の体に繋がっている機械を外してもらった。

俺は、その間、たくさん朱鳥を抱きしめた。

普段は機械に覆われて、手を繋ぐことしか出来ない朱鳥をめいっぱい抱きしめた。

何度も話しかけながらひたすら抱きしめた。

いつか、きっと、目覚めてくれる事を祈りながら、ずっと抱きしめた。

10分というとは、とても短い時間だった。

10分が終わると、朱鳥はベッドに寝かされ、また、たくさんの機械に覆われる。

それが、また痛々しくて、朱鳥は苦しいんじゃないか…って

そう思うと、自分の無力さを実感して、また涙が出た。

俺に出来ること

それは

できるだけ朱鳥のそばで祈り続けること

それと

朱鳥がいつ目覚めてもいいように、待ってること

そのふたつだった。