「如月くん」


「ん?」


「今日から、よろしくね」





繋いでる手を軽く引っ張って、耳元に口を寄せて呟いた。


私の行動に如月くんは少し驚きながらも優しい笑みを浮かべる。




あぁ、やっぱり好きだなぁ。






「うん、よろしくね」





もう如月くんの笑顔に寂しく感じることはない。



嬉しさが込み上げて、愛しさで包まれる。





終わりが見えていた時とは違う。



頭上には青い空が広がり、耳に蝉の鳴き声が届く。




夏は、私たちのはじまりになる。