猫又様のお嫁様

「と、まぁ僕の生い立ちはこんな感じかな?」


「あのとき助けた綺麗な猫はあなただったんですね」


琴子もまた、あの時であった猫のことを気にかけていたのだった


「あぁそうだ。六堂くんなら大丈夫だよ、白麗(はくれい)が見張りながら家まで見送ったそうだからね」


「白麗?」


「わしのことじゃよ、嫁」


「あ!しゃべる猫!!」


いつの間にか宗介の足元にいた猫、白麗


「他の猫はしゃべらないの?」


「白麗は猫又になりそこねた長寿の猫だからね。実は僕よりも長生きしてるんだよ」


「まぁ、わしは好んで人の姿になろうと思っておらんからのぉ。この姿が1番じゃ」


「へぇ〜」


「さ、琴子。今日からここが君の家だよ」


「はい?」


唐突にそう言われ固まる琴子


「君には今日から僕のお嫁さんとして一緒に暮らして欲しいんだけど、」


「いやいやいやいや!五十嵐さん!?待ってください!」


「宗介でいいよ琴子。不満かい?」


「不満も何も私には帰る家が!」


「あぁ、心配しないで。猫隠しするから君のことはご家族はだぁれも知らないことになるよ」


そう言った宗介はにこっと笑う


「ねこ、かくし」


猫隠し、いわゆる神隠しの1つである


この町の古い言い伝えで


悪さをした小さい子に「いうこと聞かない子は猫隠しにあうよ」と叱るときによく言われていた言葉だった


「そ、猫隠し。まぁほんとは学校も辞めさせたいけど卒業までは行かせてあげたいからねぇ。でも卒業したらもちろん、僕のお嫁さんになってもらうからね?」


にこっと笑う宗介をみて琴子は背筋がゾクっとした


「(逃げなきゃ)」


そう思った琴子の行動は早かった


「そ、そんな冗談通じませんよ?遅くなったらいけないのでか、帰りますね。お邪魔しました」


琴子は猫を踏みつけないように急いで玄関へと行く


扉を開け、門をくぐる


ちらっと後ろを見ても誰もいない


「(か、帰れる)」


そう思い来た道を帰ろうとする





「ながい」


進めど進めど道は開けない


「(というかこの家どこに建ってる家なんだろう)」


琴子は宗介に連れられて道を通らず一瞬にして家に連れてこられたため


自分がどこにいるのかわからなかった


「(辺りは真っ暗だし…ママ心配してそう)」


周りを見ても木しかない


「もぅ!いい加減にしてほしい!」


苛立ちだけが募る琴子


その時ちょうど明るい光が見えた


「あ!大通りかな?」


そう思って走る琴子


しかし


「え、」


たどり着くとそこは宗介の家だった