「ごめんね。猫がたくさんいるけど気にしないで。小雪、細雪、あぁこら小麦そこ座らない」


宗介は沢山いる猫に声をかける


「そこに座ってて。今お茶入れるから」


「あ、いえ、おかまいなく」


「遠慮しないでいいよ」


宗介はカチャカチャと食器を用意する


琴子はおとなしく座っておこうとソファに座る


「あ、」


琴子が座ったと同時にぴょんっと黒い猫が琴子の膝に乗る


「(さ、触りたい)」


触りたい琴子だったがいつも猫に避けられるため


もし触ろうとして猫が逃げて行ったら今のこの猫の暖かい温度を失ってしまうと思った


「あぁ、黒桐は触っても逃げないよ。というかここの猫はみんな琴子のことを大好きだから遠慮しなくていいよ」


いつのまにかお茶を入れて琴子の前のテーブルに置く


そして宗介は琴子のとなりに座る


琴子はそろっと黒桐と呼ばれた猫の背を撫でる


「ふわ、ふわ」


琴子は自然と笑みがこぼれる


「可愛い、ですね」


「よかったね〜黒桐」


宗介はお茶を飲みながら黒桐の頭を撫でる


「さて、黒桐。そろそろお話をしなければいけないのでね。僕の可愛い琴子から離れてくれるかい?僕も気が長い方じゃないんだけど」


宗介がそういうと黒桐はしぶしぶ琴子の膝から降りる


「話せるんですか?」


琴子は宗介に問う


「そりゃもちろん。僕は猫の長だからね。人間から見れば猫又という妖だよ」


「ねこ、また」


「ほら、尻尾」


宗介は2つに分かれた尻尾で琴子の頬をなでる


「わっ。ほんとだ…」


「…怖がらないんだね」


「えと、怖がった方がいいですか?」


「まさか。怖がられた方が悲しいよ」


宗介は悲しそうに微笑む


「それで、あの…」


琴子は色々と聞きたかった


宗介は琴子を何のために連れてきたのか


嫁とは何なのか


六堂はどうなったのか


「色々聞きたいだろう。順を追って説明しよう」


宗介は琴子の頭を撫でるとはなし始めた