お姉ちゃんからバトンを受け取ると、あたしは思い切り転んだ。

それに清水さんが『絢華さん!?』と焦っているけど、白くんは爆笑していた。


…うう、情けない。

慌てて立ち上がると、お父さんとお母さんの声が運動場に響いた。


「っ絢華!! 頑張るんだ!!」

「絢華……!」


ありがとう、お父さん、お母さん…!

あたしはまた走り出すと、美湯さんに負けないくらい、全力を出し切った。


観客は少ないのに、みんなの盛り上がる声が聞こえる。

みんな、全力で取り組んでくれた。


…ようやく、バラバラだった心が一つにまとまったような、そんな気持ちに包まれた。