無事に奈々美と合流したあたしは、ふと思い出したことがあった。


「…そういえば、陰輔くんの服を借りたままだった…。さすがに夏休みが明けてからって悪いよね…?」

「あー、確かにそうよね。その服が普段着だったらアレだし…」

「後で連絡してみようかな」

「それで恋に発展するとかやめてよ? うちは坂木を押してるんだから!」

「あはは…、陰輔くんがあたしを好きだとは決まったわけじゃないし、大丈夫だよ」


新幹線が駅のホームに着くと、あたしたちは指定席に向かった。


「奈々美は今日、どこに行ってたの?」

「ああ、毎日行列だっていうカフェに並んだり、ちょっと縁結びで…有名な神社に行ってたのよ」

「な、奈々美が…縁結びなんて…凄い進歩だね…」

「…うん、ちょっと頑張ってみた」