慌てていたのかお皿は片付けてないけど、こうして残さず食べてくれることが何よりも嬉しかった。
その時目に留まったのは、お皿の横にぽつんと置いていかれたようなビニール袋。
袋の上にメモがテープで貼り付けてある。
「…お母さん」
中を覗いて見れば、可愛らしい小鹿の絵が描かれたハンドクリームが入っていた。
メモには「絢華、使いなさい」と一言添えられて。
有り難く今使わせてもらうと、甘い桃の香りがした。
身支度を済ませると、家の鍵を閉めて口角を緩ませた。
「行ってきます…!」
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