何度か瞬きを繰り返すと、わざとらしいため息と一緒に「聞こえねーの」と不機嫌そうに呟いた。
「あ、いや…それくらいなら全然いいけど…。
もっと無理難題を押し付けられるのかと思ってて…」
「おれはそんな悪魔じゃねーよ」
「えっ」
「…何驚いてんの」
ずいっと手が伸ばされたので、慌てて避けると五十嵐くんの隣に座っていたひなちゃんが、にこにこと頬を緩ませていた。
「おにいちゃんとあやかおねえさん、なかよしなんだね!」
「え、えええ…? あたしと五十嵐くんが?」
「っは、こんな未練たらたらで、うじうじしてて、泣いてばっかのやつなんか、死んでも仲良くしたくねーよ」
…そ、そんなに言わなくてもいいのに!

