おにぎりを食べ終えたあたしは立ち上がると、美湯さんにお辞儀をして部屋を出た。
…ああ、また説教じみたことをしてしまった。
まだまだ子供なあたしが、あんな台詞を言うなんておこがましいことだ。
その場で頭を抱えると、はあ、とため息を零してしまった。
余計、清水さんたちの仲をこじらせてしまったらどうしよう…。
不意にぱたぱたとスリッパで歩く音が、廊下に響いた。
「…絢華さん、一ノ瀬くんが拗ねているので、早く来て下さい」
「清水さん…」
困ったような表情を浮かべる清水さんに手を引かれると、あたしは気まずくて顔が上げられなかった。

