絢華が放課後そわそわすることが増えた。

入学してから早一週間が過ぎたにも関わらず、俺は未だ絢華に話しかけられない。


一ノ瀬は部活が忙しいのか、一緒に帰ろうとは言ってこなかった。


俺は特に決めていた部活とかなかったため、弓道部に入ることにした。


中学校のときにはなかった弓道部が、どうしてか魅力的に見えたのだ。



今日も母さんは家に帰らないのだろう。

俺がそこそこ美味しい料理でも作れたら、母さんは帰ってきてくれるはずなのにな…。



職員室に立ち寄り、担任の先生に入部届けを渡すと、さっさと下駄箱へ向かった。

家に帰ったら兎に角寝てしまおう。


―そうしたら嫌なことを全部、忘れることが出来るだろうから。