こくりと一度頷いた凜くんを見て、これで桃も報われたらいいなと思った。


…胸の苦しさは、もう感じない。

ちらりと凜くんを見れば、外の夜景に釘付けだった。



観覧車を降りると、すぐさま桃のところへ駆け寄った。

寒そうに手を擦る桃は、あたし達を見つけるなり、嬉しそうに破顔させた。



「桃、あたし五十嵐くんを探すから、凜くんと帰ってていいよ」

「え! で、でも…さっきから五十嵐くん見つからなくて…」

「大丈夫。まだ帰ってないはずだから。それに二人共最後くらいは一緒にいなよ。付き合ってるんだから」


“付き合ってる”という言葉に、桃が顔を真っ赤にさせた。


凜くんだけ眉間にシワを寄せて「…五十嵐はその」と口をもごもごとしていた。