「ヒドいよ……」


そう言うとボロリと涙が溢れ落ちていった。
夢の中の私は、声を上げて泣いてた。


「信じてたのに…裏切るなんて…!」


社風だから仕方ない部分もあったと思う。
例えば、自分があの会議に出てプレゼンしたとしても製品にはきっと至らなかった筈なんだ。


キャリアのある村田さんが発案したと言ったからこそ上部の人達は耳を傾けた。
だからこそ、世に出回るチャンスを貰えた。


発案者が誰であれ、自分のアイデアが試されることになったんだ。

怒ったり、悔やんだり、妬んだらダメ……。


「だけど、悔しい…」


そう呟いて泣く私の涙を誰かがそっと拭ってくれる。

好きなだけ泣けばいいと言ってくれて、私は逆に泣くもんかと意地を張った。



「どっちなんだ」


呆れる声がして少し可笑しくて笑いを含んだ。
そんな私の髪を優しく掴みながら、元気を出せと慰めて貰った。


………全部夢だとばかり思ってた。
声だけがあの毒ばかりを吐き捨てる人に似てるなぁ…と思いながら深い眠りに落ちていった……。