彼に頼まれた物をバッグに詰め、病院へと向かう。


今日も暑い日になりそうだ。
地下鉄の中は冷えていたけど、駅を出て歩き出すと、いきなりの外気との気温差に急に体温が上昇したような気になる。

そして病院の入口を通るとまた暑さが和らぐ。
エアコンの効いた病院内は確かに快適だけれど、早く怪我が治り退院して、自然に季節感を感じさせてあげたいな…と廊下を歩きながら思った。



「失礼しまーす」

四人部屋の入口で控えめな声で挨拶をして、窓際の彼のベッドへと向かう。

そして昨日の夜、彼の腕に包まれ花火を見た病室のカーテンを開けた。

昨日と同じような笑顔を見せて…。


彼もまた、昨日と同じ優しい笑顔を見せて迎えてくれるんだと思っていた…