しかし…

「ごめん!美織。足、骨折して入院した」

花火大会を一週間後に控えた夜、彼から電話があった。


試合で相手チームのメンバーとぶつかり、足がもつれ合ったまま転倒して、左足を骨折したのだそうだ。


「花火大会までに何とか退院できないかと思ったんだけど、絶対無理だって。ついてないな〜。
仕方ないからホテルもキャンセルするね」

彼に誘って貰った日からすごく楽しみにしていたので、残念で仕方がないけど、彼は痛い上に不自由な思いをしているのだから、そんな事は言える訳もない。


「せめてお見舞いに行きたい」

「わざわざ来なくていいよ。どこにも連れて行けないのに」

「私は幸にどこかに連れてって貰いたいんじゃないの。幸に会いたいの。だから行く」


そんな時にこそ側にいて、何でもいいから少しでも支えてあげられたらいいのに、すぐに飛んで行けないのがもどかしかった。