「ありがとう…」

そう言って照れ隠しに目線を逸らすと、池の近くにある街灯が放っている、ほの明るい光の中を小さな粒がいくつも舞っているのに気づいた。

「あ…また雪…」

「ほんとだ…。こんな寒い夜に、公園のベンチに座ってる奴なんかいないよな。
風邪ひくといけないし、帰ろっか」

そう言って立ち上がった彼は、私の手を引き、そのまま握って歩き始める。



…明日、雪がたくさん積もって、新幹線が動かなくなればいいのに…。


私の手を握る彼の腕に、私はもう一方の腕を絡ませ、ぴったりと寄り添って歩きながら、心の中でそう願った。