私と梨絵が会場に着いた時、出席者はまだまばらで、ホールの奥の壁際に並べられた椅子に座って、みんなが集まるのを待っていた。
私達を見つけた光井先輩が、あの頃と変わらない親しみやすそうな笑顔を浮かべて、話しかけて来た。
「お〜!二人とも、すっかり美人さんになっちゃって!」
「光井先輩の口の上手さは相変わらずですね」
「おいおい、梨絵ちゃん、もっと誉めるとこ、あるだろ?」
「そうですね〜。えーと、えーと…」
「ひでぇな。そんな考えても出て来ないのかよ」
二人が笑い合うのに、私もつられて笑っていた。
「あ、あのさ…」
光井先輩がそう言いながら、私をチラッと見た。
「おーい、光井〜!幹事集合だってよ」
その時、入口の方から声がかかる。
「あ、行かなきゃ。俺、幹事だから雑用多くて。じゃ、またな」
あの時、光井先輩は、彼がこれから来ることを私に話そうか迷っていたのだろうと思った。

