「美織、どうする?参加…する?藤元先輩が来るかどうかはまだわからないみたい。
でも達也くんから光井先輩に聞いて貰ったら、藤元先輩、大学でもバスケやってて、夏の大会もあるし多分無理だと思う…って言ってたってさ」


私は急に黙り込んでしまう。
やっと、彼との記憶を私なりに封じ込めて心から笑えるようになったと思ったのに、瞬時に甦ってしまうあの頃の記憶に押し潰されそうになる。

その一方で、まだバスケを続けている大学生になった彼のことを想像して、ほんの少しだけ嬉しくなってしまう。



「藤元先輩がもし来たとしたら、どう接したらいいかわからないだろうし、来なかったらそれはそれで淋しいと思うのかな…
ねぇ…まだ完全には吹っ切れてない?」


梨絵は、私が家でOB会の通知を受け取った時、一人で動揺してしまうと心配して、前もって知らせる為に、今日、私を呼び出したのだろう。

「ありがとう、梨絵。少し考えてみる」




心の中がざわつく日々が続いた。
二年かかって少しずつ気持ちの整理ができて行ったと思っていたのに、ほんの僅かな事で、箱の中に仕舞い込んだ沢山の想いが、こんなにも簡単に溢れて散らかってしまうなんて…。