私を好きだと言ってくれた彼。

自分に自信が持てなくて、彼の側に誰かが居るのを目にするだけで、疑心暗鬼になってしまう私。

「他の誰が何を言っても、俺は美織ちゃんのいいところをいっぱい知ってる。もっと自信持ちなよ。そして、俺の気持ちを信じて欲しい」

そう言ってくれた彼。



ただ信じていれば、それで良かったのに…

苦しくて、
辛くて、

私は貴方の手を離してしまった。



「ごめん。もっと美織ちゃんの笑顔を見ていたかったのに…。
ただ辛い想いをさせるだけだった。
もう一緒にいない方がいいんだね?
本当にごめんね」



藤元先輩が三年になり、夏の大会を終え引退する頃に、彼と私は別れた。



何も実らないままに、気持ちだけ残して終わってしまった。 

水面に浮かんですぐ消えてしまう泡のように、とても儚い恋だった。