彼の車が坂を登り、光差す場所へと向かって行く。


ブレーキランプが点滅して、その姿が見えなくなると、薄暗い地下駐車場はとても殺風景な空間になった。



薄手のジャケット下の腕が急に冷たく感じ、私は思わず自分の両腕を抱く。
そして、全身の力を抜くようにその場にうずくまった。





もう、誰もいない。
誰も見てない…。


私は、瞼の奥でじっと耐えていた涙を、やっとの想いで開放した。





        ----- The End -----