永く青い季節 〜十年愛〜



彼が以前から企画開発部という部署に配属変更を希望していて、それがやっと受理される事になったので、また他の支店に転勤になると思う…という話を、あの夜、私は、彼の腕の中で聞いていた。

他の女性と生きていく彼に、仕事仲間として平然と接するという義務から、これで開放される…。
淋しさで押し潰されそうな心のどこかで、私は少しだけホッとしていたのだ。




コンサートの準備中に、たまたま人気のない廊下で、彼に呼び止められた。

「転勤、来週に決まったんだ…」


年度替わりの人事異動の時期なので、そろそろなのだろうと覚悟はしていた。



もしも何年か後に、また彼がこの地に戻る事があったとしても、業種が違えば顔を合わせることもなくなる。



もうこれで、本当に二度と会うことはなくなるのだろう…。