しかし、二人の努力も虚しく、校門を入ったところで始業のチャイムが鳴った。
校舎の昇降口に滑り込むと、息を切らしながら、自然と目が合った。
「残念…。折角頑張って走ったのに間に合わなかったね。
しかも見事にビショ濡れだし。ごめん、俺あんま雨よけにならなかったね」
「そんな事ないです。すみません。先輩一人なら間に合ってたし、そんなに濡れなかったのに」
彼の濡れた髪を見てそう言った私に気を遣わせまいと思ってくれたのか、彼は前髪を掻き上げ、それを誤魔化すように笑った。
「全然、大丈夫。
でも、君、根性あるね。どこか運動部に入って…」
そこまで言って、彼はハッとしたように私の顔をマジマジと見る。
「あ、女子バスケ部?!」
「はい、新入部員です」
「そっか~。俺もバスケ部で…」
「知ってます。藤元幸先輩」
「そっか…。じゃ、また部活でね」
「はい、今日は本当にすみませんでした。ありがとうございました」
「別に俺、何にもしてないし。じゃ、俺、こっちの階段だから」
昇降口から左の階段を指差すと、彼は背を向ける。
私は彼に頭を下げると、右の階段に向かおうとした。

