二人でテーブルを囲み、私は自分でも呆れるほど饒舌に、彼女の話を聞き出していた。

彼女は彼より三つ年上で、彼が新入社員の頃、研修でこちらに居る間に知り合ったらしい。

最初は私の先輩の西田さんや、他の人も一緒に飲みに行ったりしていたらしいが、彼が東京へ戻ってからは、彼女が時々会いに来るようになり、付き合うようになったと…。



自分であれこれ聞きながら、喉の奥がカラカラに乾いて吐き気に襲われるような感覚に陥り、私はその度にカクテルを流し込んだ。

それでも流石に結婚式の日取りまでは、胸が押し潰されそうで聞けなかったけれど…。


彼からも私のことを聞かれたけど、別れた人との事をあたかも今付き合っているかのように、嘘で塗り固めて誤魔化した。

私にそういう人がいた方が、“ あの日の涙の意味 ”を、彼が深く考えなくて済むと思ったから…。