「…あ…」

「ん?どうかした?」

「あ、機材載せてるって言うから、社用車だと思ってて…」


彼がロックを外しハザードランプが点滅したのは、少し車高の高い濃い青のSUV車。

「あぁ。大きい機材載せたり、会社に戻らなきゃいけない時は社用車使うけど、そうじゃない時は、自分の車使うことも多いかな」



彼がどんな車に乗っているのか想像したこともなかったけど、雰囲気にすごく合ってるな…と何となく納得してしまう。

プライベートで使っている車に乗るんだと思うと、少しの後ろめたさと妙な緊張感が湧いてしまった。

「じゃ、お願いしまーす」

そんな気持ちを見せないように、ごく自然な感じで声をかけると、私は彼の車に乗り込んだ。


そう…彼と私は、今はただの仕事仲間でしかない。
仕事終わりに、誰かに都合の良い場所まで車に乗せて貰う…などということは、今までだってあった。
それと同じだ。