有希side

今日は鎌に頼まれた調べ物をするために1日部屋に籠ることになると思う。


その調べものとは千尋のことだ。

あいつは俺らが知らない秘密を抱えていると思う。

別にスパイだとか疑っている訳ではない。

だが、少し不可解なところが多いのだ。

暴走族のことについて少し知りすぎている。
本人は無自覚なのかもしれないけれど俺らが話していることを1発で理解している。

ほかにも体育祭の時だ。

本当に楽しみだったとしても前の学校でやっているはずだ。

だから少しは落ち着く場面もあるはず。

なのにあいつはすべての競技を初めて見るような目をしていてキラキラしていた。

バイクだって乗りなれている感じもするし倉庫の中を全て案内したわけじゃないのに構造を知っている雰囲気を出している。


鎌が拾ってくる前はただの一般人じゃなかったのか?

自慢じゃないが俺はハッカーの中でも全国3位の実力を持っている。

だから鎌に頼まれて調べることにした。


だが調べてみると衝撃の自体が起こった。

これはあいつらに知らせなきゃ。

椅子から立とうと思ったら不意に扉がノックされた。

コンコン──

「有希?今いい?」

そう言いながら入ってきたのは千尋だった。

「あ、あのね?お菓子作ったから有希もどうかなって…」

少し遠慮しながら言ってきてああ、可愛いなと思った。

って、違う。

鎌立ちに報告しなきゃ。

「ありがとうございます。後でいただきますね?ああ、それと今から幹部室には入らないでください。大切な話があるので」

うん!と千尋は笑顔を見せて部屋を出ていった。

流石にこの話を本人に聞かれるのはやばいよな…


幹部室に行きあいつらを集める。

「ああ、有希。分かったのか?」

「確かちひろのこと調べてたんだっけ?」

「え?そうなの?」

「なんだよ、隆弘。知らなかったのかよ。だっせえww」

はあ、咲良はなんでいつもこうなんですか…

「まあいいから、報告します。」

ほんとにこの情報には俺も驚いた。

「千尋の情報は……何も出てきませんでした」

「「「「はぁ?」」」」

そう、なんの情報も出てこなかった。

まあ、誕生日や年齢、好きな物とかは出てきたけど。

「出てこないというか隠されているような感じだった。しかもその方法はあの全国1位と2位のものを足したようなものでした。」

「なに?」

「それはもう厳重に守られていて少しのことしか分かりません。」

「そうか。わかった。」

やっぱり謎すぎる千尋。


いつか俺らにその謎を教えてくれる日が来るのか?