「さあやへ

 身体の調子はどうですか?
 俺はもうじき日本に帰れそうです。
 帰ったらまた一緒にいろんな話をしましょう。
 こっちのいろんなこと、沙彩に話したいです。
 沙彩の話もたくさん聞きたいです。俺がいなかった3年間、どうでしたか?
 きっと沙彩は大人っぽくなってて綺麗になっているんでしょうね。
 早く日本に戻って沙彩に会いたい。
 日程は決まり次第教えます。
                              宇詩」

宇詩の手紙を病室のベッドで読む。生まれつき重い心疾患を抱えている私は高校を無事卒業したがまた入院。でも毎月届く宇詩の手紙に助けられている。そして枕元に置いてある1冊の本に手を伸ばす。

彼と初めて言葉を交わしたのは中学2年の春。桜のきれいな季節だった。

あれは放課後學校の屋上でのんびりしていた時だった。