10年経っても

『ごめん…ちょっと言い過ぎた…』

腕を掴む力が思ったより強くて離せない。

『なにさ…離してよ…』

びっくりして私の涙はひっこんでいた。

その時−

その時、私は初めて辺見の顔を正面から見た。