最後まで寺内は黙って聞いてくれた。
私が全部話終わったところで口を開いた彼。
「それは悔しいんじゃねぇの?
1人の人として見られてて、誰かに重ねて見られてるのが。
人間によくある心理だろ。
自分を自分として見られたいってやつ。」
この感情は……悔しいってことなの?
なんだろう。
悔しいとは違う気がする……、でも寺内が言うのならきっとそうなのだろう。
私は無理矢理納得することにした。
「話聞いてくれてありがとう。」
「ん。またいつでも聞いてやるよ。」
今度はふわりと優しく微笑んだ寺内。
あ……この笑顔は。
初めて会って、私を助けてくれた時の彼の笑顔だった。
「帰るか。その様子じゃ、教室にカバン置いてきたんだろ?
仕方ないから俺がとってきてやるよ。
下駄箱で待っとけ。」
「………ごめんね、ありがとう。」
私は彼の優しさに甘えることにした。
そして私は寺内に言われた通り、下駄箱で待っていた……。



