背中を向けた状態でも、 王子が今どんな顔をしているのか分かる気がした。 私に近づく度にだんだん大きく聞こえてくるブーツが床にあたる音が、 今は一際よく耳に響く。 「こっちに来い。」 いつものような優しさはない。 あの日、王子が私に嫉妬してくれた日のように 寝室に連れ込まれた。 けど今度は押し倒されることはなく