「わざわざ出迎えに?」 「はい、王子がお戻りになったのですから。」 「………そうか。」 ふにゃっと柔らかく微笑んだ王子に胸がドキンと音を立てる。 思わず見惚れるようなその微笑みに酔いしれる暇もなく、 私の体はあっという間に王子の腕に包まれていた。 唐突な抱擁に戸惑いながらも、 鼻をかすめる王子の匂いに言いようのない安心感を覚える。 「会いに来たんだ、お前に。」